『晴子情歌』読む。

結局一昨日の晩から上巻を読み始め、昨日の晩に下巻読了。
や。仕事は最低限してるんだけど。ここまでガツガツ読んだらちょっと落ち着いた。


何の予備知識も全くない、白紙状態で読んだけど、これまでの高村作品とはひと味違って
でも結構面白かったー。
これまで読んだ高村作品の中で、801要素の薄さは『照柿』を押さえて堂々の1位だな。
(皆無でない所がナイス。ちなみに濃い方は『李歐』が暫定1位。全くの私見ですが。)
どうなんでしょう、ネタバレ感想はやめた方が良いのかな。
旧仮名遣いの手紙文や、方言の話し言葉が延々続くんであるが、不思議とさっくり読めた。
のは、微妙に張り巡らされた伏線がどんどん解けていくからか。
一見冗長な話なのに、飽きずにとゆーか、先が気になってしまうのはウマイよなあ。
そして究極のツンデレ男発見!こりゃーすげーや。なかなか感動しましたです。


こんな手紙を書く母はちょっとありえないし、こんなに微細な心情を汲み取れる息子なんて
ありえない訳で、その辺はフィクションと割り切るにしても、そこまで書いてもらわねば、
汲み取って行動してもらわなければ、読者がつまんない訳で、これが小説の小説たる所以か。
しかし戦前〜戦後のどっぷり左ではない知識層の、時局ごとの心の動きというのは面白かった。
世代ごとの対比とか。同じ本でも読み方の違いとか。
そして改めて古典読んでねえ。と思い知る。人間の基本として読んでおくべきなんかなー?
読書ガイド本としてもなかなかよいかも。(有島本を読む婿養子の徹底的な罵倒のされ方…。)
あと、漁業の記録という点での価値。鰊漁の話には圧倒されましたわ。


しかし、全く、この生活のどこで読書の時間を取れっちゅーねん。
そーいえば20年以上前に買った『空想から科学へ』なんて薄っぺらい本も、未だに捨てもせず
最後まで読めてもいないなー。
おや、ちょっとぐぐってみたら続きは『新リア王』なのか。・・・とくるとこんだとーちゃんか?
うーむ、また図書館通い。(落ち着いてねえ。)